苦楽を共にしたチームメンバーと、フューチャーセッションを活用して現場主導で企画したサービスで、会社のチームアワードを受賞した中吉さん。 「自分がワクワクしたことをやっているだけ」と、いつも楽しそうに笑っている。どうしたらいつもそんなに明るく軽やかでいられるのですか？ その在り方の中に、新しいリーダー像を発見しました！

中吉雅代（なかぎりまさよ）さん　プロフィール （写真前列一番左）  

セキュリティメーカー勤務。組織横断プロジェクトを次々と立ち上げている。 社内外でもイノベーション・ファシリテーターとして活躍中。2016年には、イノベーション・ファシリテーター有志で、 肩書きやセクターを超えて、想いだけでつながる「仮面フューチャーセッション」（上の写真）を開催。 

◉真の価値を求めて

---企画したサービスで会社のチームアワードを受賞！ どんな取り組みをされていたのですか？

中吉さん：
サービス企画部門に所属していて、お客様の声から新しいサービスのアイディアはあったのですが、なかなかサービスの価値を上層部に理解してもらえなくて。
アイディアをそのままにして、サービスを作ることには違和感がありましたし、お客様が本当に必要としている真の価値訴求ができるサービスを作りたくて、 市場調査をしたり、アンケートをとったり、インタビューをしたり、試行錯誤を繰り返していました。

 ---アイディアの原型はあったけれど、どのようにブラッシュアップしていけばいいのか悩まれていたんですね。

中吉さん：

そんな時に、イノベーション・ファシリテーターの野村さんが開催しているフューチャーセッションの存在を、たまたま本で知ったのです。

フューチャーセッションは、パワフルな「問い」を投げかけることによって、多様な価値観の方々との対話から、今まで見つけることのなかったアイデアや想いに気づくことができます。この「対話の化学反応」が、新しい価値創造につながると思っています。

例えば、お客様がいる場にサービスを作るステークホルダー（例えば企画者や開発者）にも一緒に参加してもらうことで、お客様のサービスを使うリアルな状況や細かいニュアンスを実際に感じてもらうこともできたのです。

ｰｰｰ対話の中でしか生まれない価値をお客様と一緒に作っていくんですね。何が起こるか分からないワクワクがありますね。

中吉さん：
更にとてもよかったことは、実際にサービスを作っていく中で、仕様など迷った時にフューチャーセッションの中で頂いたお客様の声を振り返って、そこに何度も立ち戻ることができました。それはステークホルダー間の誤差を埋められる共通言語のようなもの。

また、直接フューチャーセッションでお会いしたお客様から頂いたコメントや笑顔に励まされて「絶対にいいサービスをリリースしたい！」、とチームメンバーで同じ想いで進めていきました。

ｰｰｰ本当にお客様の声から生まれて、一緒に作り上げていったサービスなんですね！

写真：ファシリテーション中の中吉さん。

◉当事者になって自ら動く

ｰｰｰフューチャーセッションを使って、サービスリリースまで導いた中吉さん。どんなマインドでフューチャーセッションをしようと心がけているのですか？

中吉さん：

ファシリテーションだけをして「後は勝手にやってください」ということは、私はしたくないんです。フューチャーセッションでアウトプットしたアクションを当事者になって、自分事にして、一緒にやりたい。調整することや面倒な所を突き進んで「やろうよやろうよ」、と声をかけてみんなが進みたい道を整えて、開拓していきたい。
そうしていかないと、未来シナリオは単なる評論家が作ったシナリオで、評論家タイプがいても何も変わらない。自分が「こうしたい！」と動く人がいないと意味がないと思っています。 

---なんて力強い…そんなリーダーがいたら心から一緒についていきます。

中吉さん：
最初から「私はリーダーです、ついてきてください！」ということではないんですよ。
「裸の男とリーダーシップ」という動画、見たことありますか?　最初は一人で踊っていたのに、いつの間にかその場にいる人全員が踊っていた、というものなんです。
自分の「やりたい！」と想う気持ちが最初にあって、それに賛同してくれる人がいて、その人たちとやりたいことを進めた結果、気が付いたら最初に手を挙げたその人がリーダーになっているのかなと思います。  

---とても新鮮な在り方ですね。「やりたい」という想いが先行していると、リーダーもフォロワーも本質的なアクションをすることができそうです。

◉想いでつながる仮面フューチャーセッション

---そこから「想いでつながる仮面フューチャーセッション」へとつながるのですか？

写真：「想いでつながる仮面フューチャーセッション」参加者のみなさん。

中吉さん： 

名刺や肩書きなどすべて外して、ありのままの自分の想いだけで、個と個がつながったら、どんな化学反応が起きるのだろう?　自分の立場や役割を超えて、セクターを超えて、活動が加速するかもしれない。心強い同志に巡り会えたり、強力な助っ人が見つかったりするかもしれない。そんな想いで仮面をつけながら対話をするフューチャーセッションを企画しました。 

---私も参加させて頂きました。仮面をつけながら、みんなあの空気感を楽しんでいて、大盛況でしたね。インスピレーショントークもとても印象的でした。

中吉さん：
普段の仕事だけをしていたら、まず知り合えない方々ばかりです。インスピレーショントークをお願いした方々も、フューチャーセッションを通じて、想いでつながった方々ばかりで。自分が想いでつながる場に参加することによって、やりたいことがすごく早く実現しているし、想いを伝えるパワーが強まっていると感じているので、自分でも、そういう場を作りたいと強く感じました。 

写真：仮面フューチャーセッション中の中吉さん（左）と仮面をつけた私（右）

---私もやりたいことが次の瞬間に実現している感覚はあります。よく「一人フューチャーセッション」をするんですよ。15分とか短い時間を設定して、付箋にやりたいことやアイディアを書いて、自分の未来シナリオを書いたり。そんな個人ワークをみんなでやりたいなと思ってぼそっとつぶやいたら、その日のうちに「やろうよ！」と声をかけてもらいました。

中吉さん：
フューチャーセッションを一人で。そんな風にも使えるんですね。ぜひやってみたいです！

◉ワクワクの温度を上げたい

---これからイノベーション・ファシリテーターとしてどのように活動を続けて行きたいですか。

中吉さん:

やっぱり、世の中のワクワクの温度を少しでも上げられる活動をしていきたいです。

イソップ寓話の「北風と太陽」の話が大好きなのですが、それは、この物語の太陽アプローチに憧れているからなんです。楽しいこと、嬉しいことを追求して人が喜ぶことをやり続ける。楽しく与え続けたらいいんじゃないかな…その積み重ねが実は後から振り返ったら大きな変化になっていると思います。伸び伸びと、いろんな可能性を追求したい。来年も、いろんな活動をプランしているので、しっかり進めていきたいなと思ってます。もちろん、なおちゃん（私）との合宿から生まれたプロジェクトも！

---はい、ぜひぜひ！ では、最後に4人目の21世紀Peopleをご紹介をお願いします。

中吉さん：
仮面フューチャーセッションプロジェクトの立ち上げは、この方なしではできなかった、立役者の三沢さんを紹介させてください。会社でも、フューチャーセッションを使って、組織変革や新しい取り組みを、どんどん仕掛けられています。 三沢さんは、「じゃ、やっちゃおうか」、と難しいチャレンジでも、ご飯を食べに行くみたいに、気楽に乗ってくれるのに、実際の企画や準備は人一倍丁寧。 抜群の安定感と包容力を合わせもつ、とても頼りになるイノベーション・ファシリテーターです！

写真：三沢さん（左）と中吉さん（右）。息がピッタリ合っているお二人。

---すごく行動力がある方なんですね、私も見習いたいです。今日は貴重なお話し、ありがとうございました。「一人フューチャーセッション」も来年のプロジェクトもぜひ一緒に進めましょう！

写真：私（左）と中吉さん（右）。リラックスしてインタビュー。

感想：
中吉さんの話を聞いて、自分のあらゆる経験が「すべてギフトだったんだな」、と思うことができました。ある時期、会社で上司の在り方にすごく疑問を持っていて、あの時感じた「違和感」は、中吉さんのようなリーダーに会うための、演出だったんだと。太陽のようにパワーと楽しさを与えることのできる企業で働くリーダーに、私は会いたかったんです。あの時の経験がなければ、中吉さんのような方に出会えた喜びは小さいものだったかもしれません。

そして中吉さんの描く「ワクワク」の秘密も少し分かったような気がします。それはどこにゴールを定めるか。自分だけの幸せなのか、関わる人すべての幸せなのか。中吉さんは「チームで達成したい」「みんながやりたいことをやりたい」という想いから決してぶれることがない。いつもそこを見ていて、それはご自身のワクワクと一致している。それはとんでもなくポジティブで、純粋なパワーです。
中吉さん、これからもどうぞよろしくお願いします！ワクワク★

イノベーション・ファシリテーター講座　第9期は2017年1月28日より始まります！

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◉イノベーション・ファシリテーター講座 第9期 説明会 2016.12.21

インタビュー日：2016/11/16 

聞き手：大藤直子