未来は不確実。だから自分で創っていける。 (松岡さん)

21世紀People、2人目はプロのイノベーションファシリテーターとして働く松岡さん。松岡さんに何か相談すると、一瞬でフレームワークを書いて教えてくれたり、問題を捉える客観的な視点の鋭さに、毎回溜め息が出るほど。そんなスキルの奥底に松岡さんのどんな想いがあるのでしょうか。プロフェッショナルの秘密について、ぜひ教えてください!



松岡亜樹さん プロフィール

外資系企業人材育成。 企業の人材育成担当とプロファシリテーターのパラレルキャリア。 2014年から「働き方の未来を“創る”フューチャーセッション」を定期開催。 また読まずに積んでしまった本を1時間で読む読書会、「ツンドクブ」の部長でもある。 



自分のことを話すよりも、人の話を聞くことが大好きと仰る松岡さん。果たして今回はどこまでご自身のストーリーを語って頂けるのだろうか…そしてイノベーション・ファシリテーターとしての秘訣を教えて頂けるものだろうか…と少しドキドキしながらインタビューを開始しました!




◎毎日がフューチャーセッション


ーーー今日はよろしくお願いします!では、さっそくイノベーション・ファシリテーターとしてどのように活躍されているか教えてください。



松岡さん:
 今は企業の中でイノベーション・ファシリテーターとして働いています。人材育成に関わるプロジェクトをいくつか持っていて、毎日がまるでフューチャーセッションなんですよ。


ーーー毎日?! それは具体的にどういうことなのですか?



 松岡さん:

毎日ワークショップをしている訳ではないんですけれど、プロジェクトを進めること自体がフューチャーセッションそのものなんです。

例えば何かを変えたいと思った時に、みんな「変化すること」にはとても敏感だし、人から変えられることは基本的に嫌がるものだと思うんですよね。

そこで「自分から未来を変えたい」、と取り組んでもらうためにどうしたらいいかと進める時に、イノベーション・ファシリテーターとして学んだ考え方や具体的なスキルがとてもよく役立っています。 



ーーー自分ごとで考えてもらうようなきっかけ作りは、正にフューチャーセッション。今までもそのように働いていらっしゃったのですか?



松岡さん:

転職して、そこで大きく変わりました。
前の仕事では、社内の研修講師、接客トレーナーとして、販売員や店長の育成に携わっていました。
 トレーニングでは「こういう場合はこうしましょう」という答えがあるものだったんです。トレーニングも楽しかったし、深みが分かってきた後にこれだけじゃないな…とスコープを広げたいとモヤモヤしている時に、フューチャーセッションに出会ったんですよ。


 ーーーフューチャーセッションに出会って松岡さんはどのように変わっていったのですか?



松岡さん: 

最初にフューチャーセッションに参加した時は「こんな自由な場づくりがあるんだ! なんだこれ?!」という衝撃があって。これをやっていくと自分の可能性を広げられるかもしれない、という直感みたいなものはありました。

未来のことを考えると単純にワクワクするじゃないですか、シンプルに。その楽しい未来を据えた上で自分はどうしたいのだろうと考えた時に、自分の想いを誰にも否定されずに言葉にし続けたことで「ああ、私はこういうことがやりたいのかもしれない」という輪郭がはっきりしてきました。対話は、非常にパワフルだなと思います。 

今は私が関わっている人たちが、自分の未来にワクワクするような仕事ができる環境を創っていくことを当面はやりたいです。



ーーー対話の中で自分の想いを再認識することができて、その気付きが今の松岡さんの活動へとつながっていくんですね!




◎説得はしない。自分のストーリーを素直に伝える

ーーー現在企業で活動されている中で、毎日顔を合わせる同じメンバーであればあるほど、何か変えようと問いかける時に勇気はいりませんか? どのように進めているのですか?



松岡さん:
まずは「self us now」を意識して自分の想いやストーリーを素直に話すようにしています。 私自身が「こういう未来を描いている」「こういうことを目的に仕事をしている」、というセルフのストーリーをまず伝えて、更に「その先にこういう未来がある。だから一緒にこうしましょう」、という伝え方を意識しています。自分のストーリーの共有がないとあまり共感してもらないと思っていて、あえて自分自身をさらけ出すようにしています。その方が「そうだよね」とみんなに賛同してもらえる手応えがあります。  



ーーーそれはかなり意図的にそうされているのですか?



松岡さん:
うーん…意図的というよりは、自然にそうなっているのかもしれません。会社の中では自分の想いを語るのが恥ずかしかったけれど、社外のフューチャーセッションで初めて会った人と先入観なく対話をすると、「あ、私が想っていることは、他の人も想っていることなんだ」と気付くことができました。普段はあえて言葉にしないだけで、多くの人が同じように想っているんだと思うことで、自分のストーリーを伝える勇気をもらえた気がします。



ーーー松岡さんでもそう感じていた時期があったんですね…。対話の中で得た実感から、自分がいる居場所(社内)でも素直に自分のストーリーを伝えられるようになったという変化は、とても素敵です。



写真:次回のフューチャーセッションを設計中の松岡さん。とても楽しそう!




◎イノベーション・ファシリテーターはこれからのコアスキルになる


ーーー松岡さんはイノベーション・ファシリテーター講座のゲスト講師でもあります。講座を検討されている方に、何かアドバイスはありますか?



松岡さん:
決まった未来に皆が向かっていく、という時代はもうないと思うんですよ。不確実な未来に向き合って進めていく、ということが現代の仕事のベースとしてあった時に、イノベーションを起こしていくのは一人ではほぼ難しい。おそらく誰かを関与させなきゃならない。そこでイノベーションにつながるようなファシリテーションができるっていうのは非常に強いと思います。まずスキルを持っている人が少ないから、非常にマーケットの価値は高いし、そういう人は今の時代に必要とされています。イノベーション・ファシリテーターは、多くの人にとって必要なコアスキルなのではないかと思います。


ーーー松岡さん自身、イノベーションを起こしている感覚はありますか?


松岡さん:
 「シナリオプランニング(※)」という手法では、これから起こりうる複数の未来を描きます。 未来は複数あって、不確実なのであれば、自分で創っていける!みたいな感覚があります。その感覚は、きっと強さであり、レジリエンスみたいなものです。未来が不確実であっても不安が少なくなり、描く未来に自ら近づいていけるまで、諦めない強さを持てるようになったと感じます。 


(※)「シナリオプランニング」とは複数の異なる未来の可能性を探っていき、不確実な環境変化への適切な適応策を見いだすシナリオ手法。60年以上にわたって企業や組織、個人で使われてきた「イノベーション創造」の技法と言われています。


ーーー確かに、無限にある未来の中から、何か一つを選択することは主体的に未来を創っていることになりますね。それも「イノベーション」の一つの形、ですね。





◎3人目の21世紀People



ーーーまだまだ聞きたいことがたくさんあるのですが、最後に次回の21世紀Peopleのご紹介をお願いします。(松岡さんのご提案でテレフォンショッキング形式で続けいくことにしました!)



松岡さん:

社内ファシリテーターとして活躍されている中吉雅代さんを紹介します。社内でのプロジェクトが表彰されたり、社外での活動もいつも「やろう!やろう!」という推進力と行動力がすごい! 更にすごいのは、いつもそれを笑いながら楽しそうに明るくやっていらっしゃる所です。今はイノベーション・ファシリテーター講座の合宿を一緒に企画中です。



ーーーとっても楽しみです。明るく進めていらっしゃるという点に非常に惹かれます!今日は貴重なお話、ありがとうございました。



写真:松岡さん(右)とインタビュアーの私(左)。長い時間、お話させて頂きました。



感想:
この記事を書いていく中で松岡さんから「このメディアの主役は誰なの?」と聞かれて、ハッとしました。「イノベーション・ファシリテーターって改めて何?」「どんな想いがあってどのように活動しているの??」と、誰よりも知りたい私が21世紀Peopleにその問いを投げかけて、嘘のない言葉に出会っていくことに、その意味があるのだと気づいたのです。
松岡さんからは「インタビュアーをする人もされる人も2人が主人公になるといいね」と仰っていただいて更にモヤモヤがスッキリ。もっと自分の色を出してもいいし、それを素直に書いていいのだと自分に許可して、そうすると肩の力が抜けたことにも気付きました。松岡さんのお話の中にもあったように、よりよく変化することは自分に素直になって、それを自然に外に出していくことなのかもしれません。
松岡さん、いつも「気付き」をありがとうございます。そして、そんなプロフェッショナルな松岡さんの率直な想いをたくさんお聞きすることができて、とても嬉しく勇気づけられました。本当にありがとうございました。 



イノベーション・ファシリテーター講座 第9期は2017年1月28日より始まります! 
事前の無料説明会や体験セッションがありますので、興味ある方はぜひ足を運んでみてください! 


◉イノベーション・ファシリテーター講座 第9期 体験セッション 2016.11.04

◉イノベーション・ファシリテーター講座 第9期 説明会 2016.11.10

◉イノベーション・ファシリテーター講座 第9期 説明会 2016.11.22

◉イノベーション・ファシリテーター講座 第9期 体験セッション 2016.12.07

◉イノベーション・ファシリテーター講座 第9期 説明会 2016.12.21


インタビュー日:2016/10/3
 聞き手:大藤直子

21世紀People

自分を変える、そして社会を変えていく。 イノベーションファシリテーター100人のストーリー。

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